部下と上司の間に真の対話が生まれると、組織全体の変革に繋がる
ハウス食品グループ様
事業概要
ハウス食品グループ様は「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」をグループ理念として、食品の製造・販売を中心とした事業展開を行っている。2016年から弊社の取り組みを開始し、女性活躍推進のため、女性社員だけでなく、その上司も含めて研修を行うプログラムを導入。結果として、女性社員とその上司だけでなく、全社的に対話を重視する文化が醸成され始めている。
当社サービス導入の背景
グループとして持株会社体制に移行した頃から、多様性の確保を重視して女性活躍推進を始めたが、現場の本質的な課題を掴みとれておらず、施策が期待どおりの成果をあげられていなかった。
当社サービス導入の理由
女性社員本人だけでなく、その上司も研修に参加してもらうという、両者に対するアプローチを行う点と、本質的な課題は何かを一緒に考えてコンテンツを企画する点が決め手になった。
当社サービスの詳細
女性活躍を推進しようとしても、上司のほうは女性の部下にどう向き合えばいいのかわからない、どういう活躍の場を与えればよいかわからない、という声があった。そこで、女性社員だけを変えようとするのではなく、上司も一緒に研修に参加いただくことで、上司にも変化を起こし、共にキャリアの課題に向き合う形で、対話ができる状態にしていった。学習会の内容は、画一的なものではなく、ハウス食品グループ様の状況に合わせて、また、毎年の参加者の反応を見ながら、一緒に考え、改善している。
当社サービス導入の効果
学習会に参加した社員が、自分や上司の変化を感じて涙する、という場面も見られた。以前は1on1に後ろ向きだった社員が、今では1on1を欠かせないものと考えるようになる等、組織の風土として、1on1やチームでの対話が根付いてきた。女性活躍推進を契機に始まった取り組みであったが、それだけにとどまらず、組織開発、人材開発の2つの軸で、全社に波及効果が出ている。
今後の展望
ここ数年で、組織も大きくなり、人材も流動化していて、コロナ禍で新しく入ってくる新入社員をどう育成していくか、という新たな課題も生まれている。より質の高い組織になっていく方法を考えて、一緒に歩みを進めていきたい。また、組織開発、人材開発の2軸を、もう一段進化させていくことに、一緒に取り組んでいきたい。
ハウス食品グループ本社株式会社
常務取締役 大澤 善行 様
ダイバーシティ推進部部長 加藤 淳子 様
ダイバーシティ推進部課長 山脇 直人 様
ダイバーシティ推進部チームマネージャー 志茂 初音 様
(インタビュー実施日2023年1月16日時点の役職)
弊社サービスを導入いただいた背景
interview
— 杉江
弊社のサービスをご利用いただいたきっかけをお聞かせください。
—大澤様
御社との取り組みがスタートしたのは2015年ですが、ハウス食品グループは2013年に持株会社体制に移行して、新たな成長へと変化を遂げようとしているタイミングでした。事業面(お客様に対する責任)だけでなく、社員とその家族に対する責任、社会に対する責任を果たすという意味を込めて、女性活躍も含め、ダイバーシティの実現という方針を打ち出しました。我々の企業が成長していくためにもダイバーシティは必要であると議論し始め、活動が産声をあげた時期に、杉江さんと出会いました。
—志茂様
私は担当者として、女性活躍推進のための学びの機会を作る役割を担っていました。ハウス食品にとって女性活躍を推進するのは、それが初めてではなく、過去にも女性活躍に取り組んではいましたが、うまくいっていませんでした。それまでの学習会(研修)は、現場の本質的な課題に向き合いきれておらず、私たちも本当の課題を掴みとれていないと感じていたので、そうしたところからご相談できるところが大切だと思っていた中、杉江さんとお話することができました。
—杉江
とてもよく覚えています。「過去に女性社員を集めて役員に自分達のアイディアをプレゼンする研修を実施したりもしたけれど、それでは変わらなかった、ということがあったので、もう失敗はできないんです」とおっしゃっていましたね。
—志茂様
参加者の中には「前にもやったよね」というふうに、フラストレーションを感じている人もいました。それで、新しい取り組みでは失敗できないという思いがありました。
—大澤様
当時我々も、他社さんの動向もベンチマークして、活動の内容を参考にしたりしていましたが、過去の我々の活動が根付かなかった原因は何か、など、素直に杉江さんにご相談申し上げましたね。
—杉江
女性にだけ「頑張れ」と言ってもダメなんですよね。職場が大事ですし、上司と女性社員との関係が一番大切なので、そこに手を入れたらどうでしょうか、というご提案をしました。
—志茂様
過去には女性社員だけを集めて「管理職になるには」といった話をしていました。しかし、いくら女性社員が頑張っても職場の上司が変わっていかないと、頑張れません。反対に、上司のほうに対してアプローチをしていた他社さんでは、上司が変わっても、部下が変わらないと、という意見が出たと言います。つまり、ある種の他責感のようなものが出てしまうというところがあり、両者ともにアプローチする杉江さんの方法ならうまくいきそうだと感じました。
—大澤様
過去において女性活躍推進が失敗してしまったのは、対象の女性社員の教育だけに終始してきたことがあると思います。女性社員のほうに問題があったのではなく、それを受け入れる組織のほうに問題があるのではないか、何か活躍を阻害する要因があったのではないかと考えると、杉江さんが提案してくださった内容は非常に腑に落ちるものでした。社員と組織の関係の縮図は、部下と上司との関係性に表れます。そこに信頼関係を作り上げられなければ、組織と社員との信頼関係を作り上げることもできません。そんな組織では、女性であっても男性であっても活躍できないというお話を、杉江さんから頂きました。それで、ぜひやっていこうということになりました。
弊社のサービスを選定された理由
—加藤様
2016年4月に人材活躍推進課という組織が設置されて、2人のメンバーで仕事をスタートしました。既に杉江さんにお力添えいただいて、女性を対象に新しい学習会を始めることが決まっている中で、誰に参加してもらうかを考えていきました。これからのキャリアについて悩みや迷いがあるであろう年代の社員にお声がけをしました。その話を上司の方にすると、上司の方が「俺も出るの?」と非常に驚いていたのが印象的でした。本人と上司が一緒に出るという学習会は初めての取り組みだったので、衝撃もありつつ、ワクワクもありました。
—杉江
アンケートをとったり、インタビューをしたりしましたよね。
—加藤様
杉江さんのサービスはパッケージ化されたものではないんです。おおよその骨組みはありますが、参加者の顔を見ながら一緒に中身を作っていただけるところが、本当に良かったと思います。杉江さんが一人ひとりの思いを聞いて言葉を返してくださったので、「今までで一番良い学習会だった」という声がたくさん届きました。
—大澤様
初めて1on1というものが目の前で展開されている姿を、実体験として見ることができました。これが、さらに上の段階の組織運営であったり、企業文化を作り上げていくことに繋がっています。これは女性活躍という切り口以上に、その後発展していきますが、そのスタートがそこにありました。数年にわたって学習会をしてきて、参加者の変化する姿に、どんどん我々も前のめりになっています。
—志茂様
杉江さんは学習会の中で、ご自身が悩みながら歩みを進めた経験も話してくださいます。そういうことを聞いて、女性社員たちも感じるものがあったと思います。当事者としての経験を伝えてもらえることも、杉江さんにお願いする理由になったのではないかと思います。
—大澤様
組織の風土を考えるとき、その縮図は上司と部下との関係にある、その部分が社員の活躍に影響を与える、ということを学習会を通じて理解することができました。それに対して、1on1という手法をもってコミュニケーションを密にしていき、それがマネジメント力の向上や、部下の育成に繋がります。そうした効果を目に見えて感じることができたのが大きいですよね。
学習会に参加した女性社員が「うちの上司が変わってくれた」と目頭を熱くさせて感動していたことがありました。しかし、私から見ると、彼女が一番変化して成長していました。人との関係は鏡なので、「人が変わってくれた」と言うとき、実はその本人が一番変わっているという事例をたくさん見てきました。これは間違いないな、と思いましたね。
—志茂様
私としてもびっくりでした。それまで何回も学習会を見てきましたが、その中で喜んで笑顔になる方はいても、参加した方が涙して、自分の変化や相手の変化に喜んでいる様子を見たのが初めてでした。それだけ、そこに課題があるし、取り組む価値があるんだなと思いました。
弊社サービス導入の効果
—山脇様
私は2020年から関わっていますが、学習会の効果として、それまでマネジメントの軸は「仕事を教える人」「業務を管理する人」などだったのが、「メンバーを育てる」「対話をする」といった、新しい本来あるべき軸が意識づけられたように思います。
—杉江
当初は女性と上司の1対1で参加してもらうところから、発展して、今は誰でもが対象になっていますね。それから、山脇さんは全社施策として「ガチ対話」を企画され担当されていますよね。
—山脇様
そうですね。学習会の中でやっていた1on1が外に飛び出して全社施策になっているという流れもありますし、チーム全体、組織の対話にもチャレンジしています。チームの「ガチ対話」を1on1と同じように全社的に導入に踏み出せたところです。それは学習会で実験的にやってもらって、価値が高いと感じたからできたことだと思います。
—大澤様
学習会が発展していき、社員の対話を中心とした関係づくりと、それをキーとしたチームビルディングの2つに進化しています。
—加藤様
女性活躍推進をしていくとき、上司に聞いたところ、女性の部下に対してどう向き合えば良いのか、どういう活躍の場を用意したらいいのか分からない、という声が結構ありました。学習会では、部下と上司のペアで向き合い方を学んでいきました。1on1を通じて部下が悩んでいるキャリアに一緒に向き合う、それが上司としての役割だと学ぶことができました。3年後には性別を問わず、今度はマネジャー対象で手を挙げてもらい、チーム作りを考えてもらう学習に変化しています。今後は部署長対象に、と考えています。このように、女性活躍推進というテーマから始まったものが、結果的にはもっと大きな組織づくりへの学習の場に変化していっています。これからも変わると思います。
—志茂様
対話に関しては、社員からも「人事の本気を感じる」と言ってもらっていて、すごく嬉しいです。本当に杉江さんのおかげだと思います。
—加藤様
ある社員から「学習会を始めた当初、1on1なんて時間が無くてやっていられないと思っていた、でも今では、どうやっていつ1on1をやろうとスケジュールを組む自分がいる、自分が変わったことに気づいた」ということを言ってもらい、少しずつ浸透し始めていることが実感できて嬉しいです。
—志茂様
組織全体で対話に対する姿勢が変わった証拠なのではないかと思います。
—山脇様
この3年、4年で徐々に文化として根付いてきているということは変化として感じています。
—大澤様
マネジメントは、単純に言うと、仕事と人のマネジメントです。過去において、価値観が均一化された組織では、仕事をマネジメントすることで人をマネジメントすることもできていました。目標を管理して、計画通りにいくように管理していればよかったわけです。僕らはそのような中で育ってきたし、そういう中で組織運営をしてきました。しかし、ここにきて、多様性の重視など、高度に複雑化する組織運営が求められていく中で、過去のやり方は通じなくなってきています。杉江さんとの取り組みは、そういった中で人のマネジメントはどうあるべきかを問い直す機会にもなりました。
—杉江
組織が変わってきたことを私も感じています。最初のうちは「1on1なんて、対話なんて仕事に必要なんですか?」という声があったのが、今は「学びたくて来ました」「ぜひ使いたいと思います」という姿勢で皆さん参加されています。上司と部下で参加する対話のほうも「面白いと聞いたので来ました」「これを受けたらいいことあるよと聞いて来ました」と皆さん言われていて、「組織が動き出したな」と実感しています。手を緩めずに取り組みを続けたいと思います。
弊社のサービスを特に評価いただいている点
—志茂様
杉江さんは一人ひとりの参加者に真摯に向き合ってくださいます。学習会の中でもメッセージや動画を一人ひとりに送ってくださったり、我々が提案していないのにもかかわらず、事業所だけでなく工場や研究所など現場にも足を運んでくれています。また、過去の参加者との繋がりも大切にしてくれています。社員である私も、もっと真摯に頑張らないとと奮い立たせてくれます。
また、学習会のコンテンツも、その年の参加者に合ったものを作ってくれています。参加者の状態や変化に応じて内容も変えてくださいます。その分担当者としても大変ではありますが、本当に社員の気づきや学びのためになっているという感覚があり、ありがたいです。
—山脇様
杉江さんが一人ひとりに向き合ってくださっているので、参加者もさぼれません。参加者も一人ひとり違うアウトプットを出さないと、というふうになっています。また、たくさん改良してくださっていて、同じ学習会という名前でも、全然中身が違うというふうに、本気でレビューをして、本気で企画をしてくださっているのを感じます。
—加藤様
杉江さんご自身が非常に勉強されていて、学んだことを惜しみなく提供してくれています。私たちも杉江さんの学びを通して学ばせてもらっています。より良いプログラムにしてくださるのが、とてもありがたいです。
—大澤様
他社ではパッケージを売り物にしているところも多いのですが、杉江さんの取り組みはまったくそういうものではありません。杉江さんからは、常に新しい切り口、手法、考え方を提案いただけるので、学習会がどんどん進化しています。企画する事務局側も成長しているという実感があります。
—山脇様
1on1にしてもガチ対話にしても、学習会がハウス食品としてのラボのような位置づけになっていると思います。
—杉江
研修を実施して終わり、ではなくて、効果測定をして、振り返りをして、次はこれをやってみよう、といったことを一緒に考えることができて、私も大変嬉しいです。
今後の発展
—志茂様
今まで対話や1on1について多くのことを学んできましたが、ここ数年で組織の多様性が非常に高まっています。組織も大きくなって、人材も流動化していて、コロナ禍で新しく入ってくる新入社員をどう育成していくか、という新たな課題もあります。より質の高い組織になっていく方法を考えて、杉江さんと一緒に歩みを進めていきたいと考えています。
—加藤様
この7年間はどちらかというと、私たちが見えている課題をお伝えして、杉江さんからご提案を頂いて、一緒に作ってきましたが、これからはもっと色々なことが変わっていくと思います。私たち会社の中の人間には見えなくなっていることがあるかもしれません。第三者、講師という立場、外の方だからこそ見えることがあるかと思いますので、そうしたことを指摘してもらい、一緒に議論して、新しいものを作っていけたらありがたいです。
—山脇様:今、対話施策、1on1等も含めて、あらゆる階層、あらゆるフェーズのところを杉江さんにお願いしています。弊社のそうした対話に絡むところに常に杉江さんがいてくれることを感じます。全社の対話施策を一緒に考えるところに進めたい、学習会の領域を超えて、会社としてどう進めていけばいいのかを、実験しながら進められたらと思っています。
—大澤様
組織開発、人材開発の2軸を、もう一段どう進化させていくのか、ということを杉江さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。こうした対話を、社員が道具として使いこなせるようになると、さらに組織が活性化したり、社員が元気になっていったりすると思いますので、そうした発展を期待しています。
—杉江
ハウス食品グループ様のすごいところは、中期経営計画をきちんと守り、そこに紐づけて計画を出してくださるところです。私もそこに向けて一緒に考えていくことができます。これをやればハウス食品グループ様がよくなる、ということを感じながら取り組むことができるのが嬉しく、やりがいを感じるところです。今後も一緒に考えながら進めていきたいと思います。